住宅ローンを借りても、借り換えを行って金利を下げる、という手段があります。しかし、住宅ローンの借り換えを行うことは本当にお得なのか、ということを紹介していきます。
■借り換えは得する場合もあれば損する場合もある!
最近は住宅ローンの借り換えを推奨している金融機関が増えてきています。
しかし、借り換えって必ずお得なのでしょうか?
まずそもそも借り換えとは、簡単に説明すると新しくローンを借りることで現在のローンを返済することを指します。
そして借り換えを行う目的としては大きく3つに分けられます。「月々の返済額を少なくすること」、「総返済額を少なくすること」、「金利変動リスクを少なくすること」の3つです。
この中でも特に月々の返済額を少なくすることを目的として借り換えを行う方が多いことから、借り換えを行えば必ず得するというイメージがついてしまっているようです。
もちろん上手に借り換えを行えば月々の返済額を少なくすることが出来たり、総返済額を少なくすることができます。しかし、少なくとも借り換えをすれば必ず得をすると約束されたものではないということは理解しておく必要があるのです。
例えば、当初変動金利で住宅ローンを組んだとします。ところが、5年経って金利が上がってきてしまいました。そのため、金利変動リスクを少なくするために固定金利に借り換えを行った、とします。しかし、借り換えた直後から金利が急に下がり始める、ということも可能性としてはあります。
基本的に固定金利は変動金利よりも高い金利が設定されています。だからこそ、固定金利にすることで金利変動リスクを抑えることはできたものの、月々の返済額自体は上がってしまい、得をしたとは言い切れない状況になってしまいます。
逆に固定金利で借りていたものを変動金利に借り換えを行うと、当初は金利が下がった恩恵を受けることができるかもしれませんが、金利変動リスクが高くなる分、将来の返済額や総返済額についてはどうなるかは分かりません。
■借り換えができないということも!?
また同様に変更前の住宅ローンと変更後の住宅ローンの金利差が小さいときにも得をしない可能性が高くなります。というのも、借り換え自体は何度でもできるものの、借り換えをするたびに諸費用が必要となり、諸費用分のメリットが出ない限り損をすることとなります。
最近では保証料無料、などと言って、あたかも諸費用が全くかからないように宣伝しているところもありますが、実際は印紙税や登記費用など、絶対に必要になる費用もあります。そのため、借り換えをすればするほど本来支払う必要のない費用を支払わなければならないのです。
だからこそ、総返済額や金利変動リスクまで考慮した上で借り換えを行う必要があるのです。そこまで考慮した上で借り換えを行うことができれば、当然得をすることもありますので検討に値します。
ただ気を付けなければいけない点として、借り換え自体ができないこともあるということです。借換えできない理由としてはいくつかの要因が想定されます。
単純に住宅ローンを借りた当初よりも収入が減ってしまったことにより返済負担率がオーバーしてしまったということもありますし、期間短縮型の繰り上げ返済をしすぎたことで返済負担率がオーバーしてしまうということもあります。
またたまたま借り換えを行いたい時期に転職をしたばかりだと審査を通らないことも多いですし、健康状態によっては新たに団体信用生命保険に加入できないということもあるかもしれません。
このような場合はいくら借り換えで得をするということが分かっていたとしても借り換え自体ができないこととなりますので、注意が必要です。
借り換えはすることになれば諸費用などの費用が必要になるだけではなく、手間も非常にかかります。手間をかけた挙句結果損をする借り換えになってしまっては意味がありません。
ただ月々の返済額を下げたいというだけでしたら返済額軽減型の繰り上げ返済を利用するという手もあります。安易に借り換えすればいいと考えるのではなく、十分事前シミュレーションを行ったうえで慎重に判断することが借り換えには求められますよ。