奥深き四つの通行権

2021年01月23日 追記・変更

袋地の土地というのは他の土地に比べて価格が安いのですがその分大きな問題を抱えています。家を建てることができるかどうかにも関わってくるのが袋地における通行権です。袋地の場合知っておくべき四つの通行権について紹介していきます。

■袋地の土地は権利問題も難しい・・・

やめておいた方がいい立地とは?」において袋地及び囲繞地通行権について紹介しました。

その際は囲繞地通行権しか紹介していませんでしたが、実は袋地を通行する際には囲繞地通行権も併せて四つの通行権が存在します。そしてそれぞれにより内容が異なります。

さてその四つの通行権とは、上記で紹介した囲繞地通行権、そして通行地役権、自由通行権、債権的通行権の四つとなります。

まず囲繞地通行権から紹介していきます。囲繞地通行権とは、袋地の土地を取得した場合通常周囲を土地で囲まれており公道に出ることができないため、公道に出るために他の土地を通行することができる権利のことを指します。

この囲繞地通行権とは袋地の土地の場合常に認められる権利ではあるものの、大きな問題も含んでいます。

基本的なこととして、建築基準法で定められているように建築物の敷地には道路が2m以上接している必要があります。しかし通常の囲繞地通行権においてはあくまでも通行するために必要な場所を通行できるだけであり、囲繞地(通行場所を保持している土地)にとって最も損害が少ない方法である必要があります。

つまり基本的には車の通行はできませんし、2mもの幅を囲繞地通行権として認められることはほとんどありませんので、ほとんどの場合において袋地では家を新築したり建て替えを行うことができません(但し車の通行においては例外的に認められる場合もあります)。

■通行を妨害されないための権利が必要

そうなった際に次の選択肢として考えられるのが通行地役権です。通常は袋地所有者と囲繞地所有者との間で地役権設定契約を締結することとなりますので費用が発生することが多くなります。

しかし契約により通行幅の設定ができますので、2m以上の幅を通路として利用でき、家を新築、建て替えすることも可能になることがあります。もちろんこれは契約次第で変わってくるところではありますが。

そして通行地役権を登記することによって囲繞地の所有者が変わっても通行地役権を主張できますので、できれば登記までしておきたいところです。

次の自由通行権についてですが、私道の通行の妨害を排除する権利になります。通常私道は所有者以外が立ち入ることができない場所ではありますが、生活する上で私道を通らざるを得ない場合もあります。

そのような際に私道の所有者からの妨害に対して排除することを求めることができる権利になります。そのためあまり強い権利とは言えません。

最後に債権的通行権ですが、これは単純に通行を目的として該当の土地の賃貸借契約を結んで得た通行権になります。これも強い権利とは言えませんが、土地の所有者に対しては通行の権利を主張できます。

ちなみにですが、多くの場合囲繞地通行権を利用する際にも囲繞地に対して賠償金の支払いが必要となります。もちろん相互間のやり取りで必要ない場合もありますが、他人の土地を通行するにあたって費用を必要としない通行権としては自由通行権のみとなります。

その他の通行権では基本的には費用が発生するが、場合により費用が必要ない場合も存在するぐらいに認識しておけばいいと思います。

まずそもそもとして新築の場合においてはこのような袋地はやめておいた方が良いのは言うまでもありません。やはり袋地は通常の土地に比べてかなり安くなっていますのでついつい飛びついてしまいたくなりますが、問題を抱えていることも多いのです。

それでも袋地の土地を購入するとなった際にはこの四つの通行権のことを思い出すようにしてくださいね。

Author: iehome