地震に強い家とはどのような家でしょうか?もちろん鉄筋コンクリート造や木造など家の構造の違いによっても大きく変わってきますが、他にも重量や壁強度、壁の配置バランス等多彩な要因があります。地震に強い家とはどのような家かについて紹介していきます。
■地震に強くするためには建物の重量や壁の強さが大事
建築物に大きな被害をもたらした平成7年の阪神大震災以降、東日本大震災や熊本地震等各地で大きな地震が続き、建築物の「耐震性」が注目を集めるようになっています。地震に強い家とはどのようなものでしょうか?
まずは「軽い」ことです。特に屋根が軽いということは、耐震性を考える上でとても有利です。
古い木造住宅は土葺きの瓦屋根など、非常に重い材料・工法で造られているものが多くを占めていましたが、時代とともに様々な屋根材料が開発され、最近ではスレート屋根、金属屋根(ガルバリウム鋼板)、セメント瓦など、軽い材料・工法が主流となっていますので、あえて重い屋根材を選択しない限りはそれほど問題は起きないでしょう。
続いて「壁の強さ」も重要です。これは、壁を構成する面材の種類などで決まります。
木造住宅の壁量計算では、「木ずりを柱の両面に打ち付けた壁」は壁倍率1、構造用合板は壁倍率2.5として計算します。同じサイズの壁でも、構造用合板の壁は2.5倍の強さがあるということです。
この場合、構造用合板は長さ50mmの鉄丸くぎを15cm以下の間隔で柱に打ち付けること(N50@150)と定められています。筋交い(斜め材)は、その断面寸法によって壁倍率が異なりますが、1.5倍(厚さ3cm)または2倍(厚さ45cm)が主流です。
この他、様々な材料に壁倍率が定められており、これらは5倍を上限に合算することができます。
窓や扉などの開口部には、有効に面材を貼ることができませんので、耐震性を考える上では、開口部の少ないプランが有利だと言えます。
■壁の配置バランスを間違えると地震に弱くなる・・・
ただし、単純に強い壁が多ければ良いという訳ではありません。壁の「配置バランス」を適切に計画しなければ、強い部分に負担が集中し、かえって壊れやすくなることもあります。
重心(建物の重さの中心)と剛心(建物の強さの中心)が、なるべく近くなるようにバランスを整えることが大切です。
ここまで「壁」に注目してきましたが、水平面の変形を抑えるための「水平剛性」も大切です。
床梁に構造用合板などの面材を打ち付けたり、隅角部に「火打ち」と呼ばれる小さな斜め材を設置することで、水平剛性が得られます。吹き抜けを設ける場合は、水平剛性が失われることになりますので、十分な検討が必要です。
そしてそもそも「基礎」をしっかりと作るということが大事です。耐震性の高い基礎構造にすることで、地震の揺れを分散させることができ、建物全体の安定性を向上させることができます。
その他家の中では「安全対策」を取っているということも大事になります。例えば、地震時に家具や家電が倒れることによる被害を防ぐために、家具固定用の金具などを使用するといった安全対策を取ることが大事になります。
さて、建築基準法で定める構造基準は、大地震などを教訓に、これまで何度も強化されてきました。中でも昭和56年の改正は大きく、これ以降の基準で建てられた建築物が、いわゆる「新耐震建築物」です。
その後、平成12年にも大きな改正が行われており、特に木造住宅の構造基準に関しては、これ以降のものが現行基準に近いものと言えます。
鉄筋コンクリート造、鉄骨造、木造(在来軸組工法、枠組壁工法)等、構造による耐震性の違いも気になるところですが、それぞれの構造ごとに定められた現行の耐震基準を満たしていれば、どんな構造であっても、極めて稀に発生する大地震動(震度6強~7程度)では倒壊しないということになっています。
デザイン性や快適性を追い求めるあまり耐震性が犠牲にならないよう、住宅の間取りを考える際には構造計画と併せて検討を重ねることが大切ですよ。