大切な財産である住宅の価値を損なう要素としてよく挙げられるのが湿気。住宅における湿気対策は重要なポイントです。今回は湿気が住宅に及ぼす影響とその対策について紹介します。
■湿気はそもそもどのように発生する?
もともと日本の自然環境は湿気が発生しやすい環境です。夏は高温多湿ですし冬は室内と室外との温度差が大きくなりやすいため、窓や壁内に結露が起きやすいのです。
そして住宅の構造そのものも湿気を生みやすくしている側面があります。
最近の新築住宅で多く採用されているベタ基礎工法は砂利と水を練って製造するコンクリートを多量に使用するため、床下の風通しが悪いと湿気が多くなりがちな環境になってしまいます。
基礎コンクリートの水気が完全に抜けるまでには1年から1年半程度かかると言われていますから、新築したての床下の湿気対策には特に注意が必要です。
さらに構造材や仕上げ材が乾燥しきっていないと材料内に含まれた水分が蒸発し、湿気が発生する原因となります。
住宅が完成して始まる新しい生活の中にも湿気が発生する要素はあります。
常に水気がある浴室や、便器に水がたまっている状態のトイレ、調理中の湯気が発生するキッチンは湿気が発生しやすくなります。
また押入れやクローゼットも湿気がこもりやすい場所です。一晩に人は約コップ1杯程度の汗をかくといわれていますが、その汗を一部吸っている布団や着用後の汚れがついたままの服を収納するためです。
意外なところでは、居室に設置しているエアコンが内部にたまった水分によって湿気を生み、カビを発生させる原因になります。
■湿気を放置しているとカビの他にダニやシロアリが・・・。
湿気が発生する要因を放置していると、水まわりや押入れ・クローゼットなどの窓周辺や内部に結露が起きやすくなります。結露はカビの発生を誘発し、さらにカビを餌にするダニが増えることにもつながります。
また、壁内部や床下といった箇所で結露が起きるとカビやダニだけでなく建材を腐らせる木材腐朽菌という菌が発生します。木材腐朽菌が構造材を腐食していくと住宅本体の強度が低下する上、シロアリが発生し繁殖するきっかけにもなります。
こうした環境の住宅に住んでいる場合は住んでいる人の健康への影響も考えなければいけません。
カビやダニはアトピー性皮膚炎やアレルギー性鼻炎・気管支喘息などのアレルギー性疾患を引き起こす大きな原因とされていますから、住宅の湿気対策は住んでいる人の健康管理に直結することだと考えましょう。
■湿気対策には一にも二にも風通し
湿気を除去するために常に意識しておきたいのは
です。天気がいい日は窓を開けて室内の空気を入れ替えると同時に、クローゼットや玄関収納などの扉を開けて内部の湿気を出すといいですね。
布団や枕はできるだけ天日に当てて乾燥させるようにします。
「風通しの良い家にするための工夫」でも紹介していましたが、窓を開けて通風する場合、風の通り道を対角線につくると空気が流れやすくなりますから、対角線上にある窓やドアを開けて室内全体の空気が入れ替わるよう工夫が必要です。
ここはそもそも対角線上に窓やドアを設置しておく、ということが大事になりますね。
雨の日が続く場合は窓を開けると室外の湿気が入ってきてしまうので、エアコンを除湿運転したり除湿機で室内の空気を除湿する方法がおすすめです。
またそもそも立地の関係上風通しがあまり期待できない場合ですと、「家の換気について」で紹介している通り、 というのも一つの解決策です。
目に見えない箇所だからこそついつい家の設計段階ではおざなりにしてしまいがちな湿気対策。でも快適に住み続けるためには必要な対策になります。
できるだけ湿気を発生させないように、そして発生しても快適に過ごせるようにできるだけ事前に対策するようにしておきましょう。